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エピローグ
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するすると衣が擦れあう音が聞こえていた。
覗き込んできた美しい青い瞳。
そっと聞かれる「……リア?」
違うわ。
頭の中で繰り返していた。
違うわ。それは、私の名前ではないわ。
ふわりとした浮遊感に目を瞑る。
「かわいそうに」
その響きが深く優しく悲しく愛しくて、瞳から涙がこぼれた。
「かわいそうだね」
もう一度囁いて、額に柔らかい感触が振ってきた。
かわいそうに。
そう言っている、その人の空気が悲しすぎて。
それは貴方の方だといいたくなった。
でも、それがいえるほど意識ははっきりしていなくて、私は逆の方を選んだ。
眠ってしまいたい。
今は。
このまま。
(第4章「眠れる神の檻」終わり)
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